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腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは

脊髄と脊髄から出る神経は腰椎という骨の管の中を通っていますが、これは骨のほかに前方では椎間板(腰椎の椎体の間にあるクッションの役目をする板のこと)、後方では靭帯(黄色靭帯)に囲まれています。椎間板が変性して後ろに飛び出してきたり(椎間板ヘルニア)、靭帯が厚くなって前のほうに圧迫を起こしてきたり(靭帯肥厚)、骨が厚くなったり腰椎の並び方がずれてきたり(腰椎すべり症)すると、脊髄や神経がこれらによって圧迫され、様々な症状(腰痛・足のしびれ・麻痺など)が出現します。この状態を腰椎症または腰部脊柱管狭窄症と呼んでいます。

腰部脊柱管狭窄症の症状

症状は腰痛、歩行障害、足のしびれ、筋力低下、排尿・排便障害などです。また、神経の圧迫が強くなって、急激に症状が悪くなることがあります。これを急性馬尾症候群といい、痛みの増悪、足の麻痺と感覚障害の進行、排尿・排便障害を呈します。

特に典型的なのは間欠跛行です。しばらく歩いていると、脊椎に負荷がかかり、神経が圧迫され、足腰に痛みやしびれを感じて歩きにくくなったり、歩けなくなったりしますが、しゃがんで休憩したり、前かがみになったりすることにより、神経の圧迫が解放されるような姿勢で休憩すると、また歩けるようになります。

イラスト:腰部脊柱管狭窄症の症状、(1)歩きはじめる、(2)歩きだしてしばらくすると痛み出す、(3)前かがみで少し休めば改善される、を繰り返す

「姿勢を変えると楽になる」「自転車には乗り続けられる」というのが腰部脊柱管狭窄症の特徴です。

腰部脊柱管狭窄症の治療

保存的治療

​軽いしびれなど症状が軽い場合は、安静、薬剤の投与、コルセット装着、牽引等を行い、症状が強い場合、神経や硬膜外の痛み止めの注射(ブロック)で治療します。

手術による治療

2から3カ月の保存的療法による効果が思わしくない場合や、麻痺が進行している場合、歩行障害が明らかな場合などは手術をして、神経の圧迫を取り除き症状の軽快や進行予防をはかる必要があります。 また、前述の急性馬尾症候群の時は緊急手術による脊髄神経の減圧が必要です。手術は一般的には腰椎開窓術が行われます。

腰部脊柱管狭窄症が疑われたら、どんな検査をするか?

診察では神経所見の検査と、問診では、痛くなるまでに歩ける距離や時間、腰を反らすと症状が悪化するかどうか、症状の出方や出ている部位、筋力低下や知覚の障害の有無などを確認させていただきます。

レントゲン検査

腰部脊柱管狭窄があるかどうかの確定はできませんが、「腰椎の不安定性の有無」「骨のずれの有無」「骨折や側わんの有無」などが判る重要な検査の一つです。

MRI検査

最も重要な検査はMRI検査です。これで狭窄の有無や程度を確認することができます。しかし閉所恐怖症の方や、ペースメーカーや体内に金属が入っておられる方の場合は検査ができない場合があります。そのような場合は、CT検査や脊髄造影検査が必要となります。

腰部脊柱管狭窄症のMRI写真

当院での手術治療

当院では、狭くなった脊柱管を広げる手術方法に18ミリメートルの筒型開創器を用いる低侵襲手術を行っております。

低侵襲手術の利点

  • 傷が小さいです(2センチメートル程度)
  • 術後の痛みが少なく、回復も早いです。
  • 背骨についている筋肉をはがすことが最小限ですので、脊柱の不安定性が将来起こる可能性が少ないです。
  • 入院期間が短く、日常生活や仕事への復帰が早いです。

18ミリメートルの筒型開創器を用いた片側侵入両側除圧術

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