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脊髄空洞症、キアリ奇形

脊髄空洞症とは

脊髄空洞症とは脊髄の中に水が溜まり、脊髄が「ちくわ」のような形になってしまう病気です。この病気の多くは、後頭部の奥にある小脳が生まれつき脊髄の方へ下に落ち込んでいる(キアリ奇形といいます)ことが原因で起こります。他には脊髄損傷や、脳脊髄の癒着を起こすような病気でも起こることがわかっています。いずれも、脳と脊髄を循環している脳脊髄液と呼ばれる液体の流れが滞ることにより空洞ができると考えられています。脊髄は脳の命令を全身に伝える神経線維の束ですから、この部分に空洞ができると感覚障害や運動麻痺が現れてきます。

キアリ奇形とは

小脳、延髄および橋の発生異常を基盤とする奇形で、小脳・脳幹の一部が大後頭孔を超えて脊柱管内に陥入する形態を呈する疾患です。大後頭孔から脊柱管内への小脳や脳幹の下垂などの後頭蓋の脳の形態を4型に分けられています。我々の施設では、キアリ奇形Ⅰ型(小脳扁桃の頚椎管内への嵌入)の治療を行っています。

キアリ奇形Ⅰ型

キアリⅠ型奇形の診断は大後頭孔から小脳扁桃先端が 5ミリメートル以上下垂していることとされています。

合併症

約50パーセントに脊髄空洞症を合併、脊髄空洞症を有する患者の約3分の1に側彎症を合併、水頭症が10から30パーセント合併。

発症

発症は20から40歳台の成人で、女性に多い傾向。

症状

後頭部痛や頚部痛脊髄空洞症を伴っている場合、手の痛みや温度に対する感覚が弱くなったり、力が入らなくなったりします。

検査

頚椎MRIを行うことで診断することができます。

写真
キアリ奇形Ⅰ型のMRI

治療

無症状の場合は、様子観察が望ましいです。

症状のある例や脊髄空洞症が進行する例では手術を勧めます。手術の目的は、大後頭孔部の減圧により同部の髄液循環障害を改善し、頭蓋内圧と脊椎管内圧の間の圧較差をなくすことです。手術は大後頭孔部減圧術(foramen magnum decompression:FMD)を行うのが一般的です。術後に症状が改善する場合が多いです。しかし、脊髄空洞症による側彎や温痛覚障害は改善しにくく、症状の進行を停止することが手術の主眼です。

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