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慢性疼痛
慢性疼痛とは
慢性疼痛は“急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み”と定義されています。
慢性疼痛の患者さんに当科では脊髄刺激療法を行っています。
脊髄刺激療法とは
脊髄刺激療法とは、脊髄に微弱な電気を流すことにより、痛みをやわらげる治療です。痛みの感覚は、痛みの信号が神経から脊髄を通って脳に伝わってはじめて「痛い」と認識されます。脊髄に電気刺激を与えることで痛みの信号が脳に伝わりにくくなり、痛みがやわらぐと考えられています。(ただ、脊髄刺激療法は痛みを緩和するためのものであり、痛みの原因を取り除く治療ではありません)
脊髄刺激療法は、世界でおよそ25万人以上、日本では1982年に厚生労働省の承認を受けてから現在までに約6,000人以上の患者さんがこの治療を受けています。
脊髄刺激療法の当院での流れ
症状や神経所見、画像所見で脊髄刺激療法の適応の有無を診断後、ドラッグチャレンジテストや心理検査を行います。適応があれば、手術に進みます。
手術は通常2回に分けて行われ、まず、リードのみを挿入する試験刺激(トライアル)で1週間くらい効果を確かめてから神経刺激装置を植込みます。本植込み後は、患者さんが自分の痛みに応じて刺激を患者用プログラマで調節し、痛みを調節します。
治療の流れ
手術は通常2回に分けて行われ、入院は2週間程度です。
- 試験刺激挿入
- 試験刺激(1週間)
その後、効果がある場合は本植え込み、効果がない場合は抜去を行います。
植え込みイメージ
効果がある場合に、刺激装置などの機器一式を植え込みます(本植え込み)。その後、刺激装置を操作し、いつでも自分で痛みをコントロールできます。
対象となる痛み
脊髄刺激療法が有効な痛みには、慢性疼痛の中でも神経の障害による痛み(神経障害性疼痛)と末梢血管障害による痛みがあげられます。
脊髄刺激療法の対象例
- 脊椎手術後の痛み
- 複合性局所疼痛症候群
- 脊椎疾患(脊柱管狭窄症など)による痛み
- 糖尿病性ニューロパチー
- 帯状疱疹後神経痛
- 末梢血管障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病など)
脊髄刺激療法の効果
痛みが半分程度に改善すると言われています。痛みが少しでもやわらぐことによって、日常生活における活動の幅が広がり生活の質が豊かになるという効果が期待できます。