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三叉神経痛

三叉神経痛とは

左右どちらかの歯茎、顎、頬、額に発作的に激しい痛みが出現する病気です。痛みは、食事や洗顔、歯磨きなどで誘発されることが多く、激痛のため食事が取れなかったり、歯磨きや洗顔ができないこともあります。病状が進行しても、生命や後遺障害などの危険性はないので、急いで治療しなくてもよい病気ですが、激痛のため生活に支障をきたすことが少なくありません。原因は、顔面の感覚神経である三叉神経が何らかの構造物で圧迫されているためです。三叉神経の原因として最も多いものが動脈による圧迫で、他には静脈、脳腫瘍、くも膜の癒着が原因になることもあります。これらの原因は、手術前にMRI検査で同定できます。

治療は

最初は、テグレトールなどの薬服用による治療やペインクリニックでブロック治療などを行い、それでも十分な効果が得られない場合は手術を考えます。手術は耳の後方を孤状に切開し、骨に500円玉くらいの穴をあけます(顔面けいれんの項参照)。顕微鏡で三叉神経を観察し、三叉神経を圧迫している構造物を確認します。三叉神経を圧迫するものが動脈であれば、これを剥離して移動させます(図)。

関連記事:顔面けいれん

図:三叉神経痛の治療写真

三叉神経に接しているものはできるだけ剥離して、三叉神経に接しないようにします。この手術で、ほとんどの患者さんが手術直後から三叉神経痛が消失します。手術直後に三叉神経痛が消失しなくても、7日から数カ月かけて徐々に消失することもあります。多くの患者さんで手術後2日目から歩き始め約1週間で退院します。手術の合併症として、三叉神経障害により顔面の知覚低下を呈すことがあります。

一般的には術後三叉神経痛の改善率は7から9割程度と言われています。2007年以降の当センターの治療成績は改善率92パーセントです。現在も、より良い治療効果が得られるように手術法を工夫・改良しています。三叉神経痛の原因が動脈の圧迫であれば、手術の有効性は高く、逆に静脈やくも膜の癒着では有効性は低く、再発も多いと言われています。

その他の三叉神経痛の治療として、放射線治療(ガンマナイフ)がありますが、2005年の春から健康保険が使えなくなり、自費治療となりました。放射線で三叉神経を麻痺させる方法で、治療後痛みがすぐにとれず、顔面のしびれなどの合併症率も高い治療で、第一選択とはなりません。超高齢の患者さんや、他の病気などの理由で、手術の危険性が高いと判断された患者さんや、手術前の診察や検査の結果、手術による効果が期待できない患者さんに適した治療法といえます。

関連記事:ガンマナイフセンター

秋田県立循環器・脳脊髄センターの治療成績(2007年から2010年)

  • 手術件数:26例、手術後は全例で症状は軽快・消失しています。
  • 手術合併症:1例は硬膜外血腫で再手術し、後遺症はありません。
  • 硬膜外血腫とは頭蓋骨と脳の表面を覆う硬膜の間に血腫ができる合併症です。
  • 再発:2例(数カ月後に再発しています。症状は手術前より軽度で、内服薬で通常の生活をされています。)
  • 手術死亡:0例

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