当センターへのご紹介


introduction

ガンマナイフセンター

はじめに

ガンマナイフ治療とは脳腫瘍や脳血管病変を開頭手術することなく低侵襲で治療することを可能とした治療です。

当センターでは2001年9月1日に治療開始してから、これまでの治療症例総数は1000例を超え、現在年間約120例の治療を行っています。2007年6月にmodel-4Cにアップグレードを行い、APS(自動位置決めシステム)を用いての治療が可能となりました。その結果、従来よりさらに正確に病巣を治療することができるようになり、あわせて治療時間も短縮されました。

ガンマナイフのしくみ

虫めがねで太陽の光を集めて紙を燃やすのと同じような仕組みで放射線の一種であるガンマ線を集中的に照射する事で、脳腫瘍などの病巣を破壊する画期的な治療装置です。実際の照射の誤差も0.5ミリメートル以下という極めて精度の高い治療法で手術が困難な脳の深いところや、合併症を起こす危険の高い部位の病気に対しても有効です。

ガンマナイフ治療装置本体に固定された201個のコバルト線源より出たガンマ線のビームはヘルメットの中心に照射されるように設定されています。一本一本のガンマ線のビームは弱いため、病巣周囲の正常な脳組織には障害を与えませんが、病巣にはビームが集中し強力なエネルギーが発生することで、病巣を破壊することができます。

ヘルメットの中心に病巣を正確に置くためにフレームと呼ばれる計測器具を頭にピンで固定します。フレームをつけた状態で撮影したMRI、CT、血管造影検査を元に治療用コンピューターで病巣の広がりを3次元的把握することで病巣を正確に治療することが可能になります。このとき照射範囲を病巣に十分な線量が照射され且つ周辺の正常組織に被爆が少なくなるように治療計画用コンピューターを用いて術者が決定します。

ガンマナイフ治療が適応となる疾患

脳腫瘍転移性脳腫瘍、聴神経腫瘍、髄膜腫、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、神経膠腫など
脳血管障害脳動静脈奇形、海綿状血管腫など
機能性疾患三叉神経痛など(三叉神経痛に関しては、平成27年度より保険収載されました)

主な疾患の紹介

転移性脳腫瘍

病変の大きさが約3センチメートル以下で20グレイから22グレイの十分な放射線が照射できた場合は、80パーセント以上の症例で病変は縮小しその状態を保ってくれます。3セントメートル以上の病巣でも状況に応じて2回ないしは3回に分けて照射を行うことで治療する事もできます。病変が多発した場合や、全脳照射後に出現した病変でも治療可能です。治療効果が出て病変が縮小するまでには1カ月~2カ月の期間が必要です。病変が縮小することで片麻痺や、構音障害などの神経症状がある場合でも症状が改善することが期待できます。しかしながら治療効果が出る過程で一時的にむくみ(浮腫)が出現して、症状が悪くなることもあります。多くの場合病変が縮小するのにあわせて浮腫も軽くなるので症状も軽快していきますが、中には悪い状態で症状が固まってしまう方もいます。これらの治療効果の出方は、原発癌の種類、脳転移の部位や大きさ、個数、治療前の浮腫の程度や放射線治療癧の有無などで違いがあります。

写真:転移性脳腫瘍、治療前、治療後、治療後2カ月で病変は著しく縮小し病変の周囲の浮腫も軽減し治療前にみられた右片麻痺も改善した

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形は、治療を行わない場合1年間に3パーセントから5パーセントの確立で出血を起こすといわれています。ガンマナイフ治療の目的はこの異常な血管を閉塞させ、将来起こるかもしれない出血を防ぐことです。病変の大きさが約3センチメートル以下で18グレイから20グレイの十分な放射線が照射できた場合は一般的に80パーセント以上の確率で完全閉塞します。ただし閉塞するまでに2年から3年の期間が必要で、その間は出血が起こる危険性が残ります(治療を行わない場合より低くなると推定されています)。また、ガンマナイフ治療後に脳動静脈奇形がわずかに残った場合でも再照射する事で完全に閉塞させることも可能です。合併症としては脳動静脈奇形が縮小する過程で浮腫が起こることがあり、この浮腫によってけいれんや麻痺、構音障害といった神経症状が起こることもあります。けいれん発作がある場合は脳動静脈奇形が完全に閉塞しても症状が残ることがあり、その場合はけいれんを抑制するお薬を飲み続ける必要があります。また、治療後に脳動静脈奇形が閉塞したあと数年してから、その部分にまれに嚢胞ができることが知られていますので、ガンマナイフ治療後に脳動静脈奇形が完全に閉塞しても継続的に経過観察していく必要があります。

写真:脳動静脈奇形、治療前、治療後3年、治療後3年で脳動静脈奇形は完全に消失

良性腫瘍

良性腫瘍に対するガンマナイフ治療の目的は、病巣を積極的に縮小させることではなく、成長を止めて新たな神経症状を出さないようにする事です。

聴神経腫瘍

治療対象となるのは最大径2.5センチメートル以下がよい適応になります。

ガンマナイフ治療後10年間で約90パーセントの確率で腫瘍の成長が止まるか、縮小します。

然しその過程は、一般的に治療後6カ月から12カ月後にかけて腫瘍が一時的に大きくなり、その後に緩やかに縮小してくるという特徴的なものです。その期間に大きくなった腫瘍が脳を圧迫してくると、ふらつきなどの症状が出現する事があります。また、一時的に大きくなった腫瘍によって髄液の流れる通路が塞がれたり、腫瘍からの分解産物によって髄液の流れが悪くなると水頭症を起こすことがあります。このような場合は腫瘍を摘出する手術が必要となったり、頭にたまった髄液を排除するシャント術が必要となることがあります。また、治療前の聴力障害の程度にもよりますが、約30パーセントから60パーセントの症例で聴力の低下が起きます。顔面神経麻痺は永続するものが約1パーセントの割合で起きることが知られています。

写真:聴神経腫瘍、治療前、治療後6カ月、治療後3年、6カ月で腫瘍の壊死が始まり、3年で腫瘍が縮小

髄膜腫

髄膜腫は存在する場所にもよりますが、ガンマナイフ治療後にむくみ(浮腫)が起きやすいことが知られています。そのため、ガンマナイフ治療の適応になるものは、手術の難しい場所にある場合や、何らかの理由で手術が不可能な方、手術後に残存したり再発してきた場合などです。ガンマナイフ治療後は、一般的に10年間で約80パーセントの確率で腫瘍の成長が止まります。腫瘍の大きさは最大径3センチメートル以下がよい適応となります。

治療の流れ

入院期間は原則として2泊3日間です。治療も局所麻酔で行うことができるので身体へ負担は最小限です。

1日目:入院

治療前検査を行います 病変の大きさや広がりを確認して翌日の治療について検討します。

2日目:治療

(1)フレームの装着(約30分)

頭皮の消毒後、4カ所に局所麻酔を行ない、フレームをピンで固定します。

頭の毛を剃る必要はありません。

イラスト:ガンマナイフフレーム装着の様子

(2)画像検査(約1時間)

フレームを付けた状態でMRIやCT検査を行い、(脳動静脈奇形の場合は血管造影も追加されます)治療用コンピューターで3次元的に病変の正確な位置を特定できるようにします。

写真:画像検査の様子

(3)治療計画の作成(約1時間から2時間)

治療用コンピューターを用いて病巣に対しての照射範囲と照射線量を決定します。

写真:ガンマナイフ治療計画の作成

(4)照射(約1時間から4時間)

疾患の種類、病巣の大きさや広がりによって照射時間は異なります。

照射中に痛みなどはありません。お好みの音楽を聞きながら治療を受けることもできます。

写真:ガンマナイフ照射の様子

3日目:退院

治療後について

紹介元の医療機関もしくは当センターで3カ月から6カ月毎に経過観察を行ないます。ガンマナイフは非常に高い効果が期待できる治療です。しかしながら、その効果はすぐに出るわけではなく、効果の出る過程で浮腫などの合併症が出ることもありますので定期的な外来での経過観察を勧めています。

ガンマナイフ外来

ガンマナイフ外来は毎週火曜日に初診をのぞいて予約制により行っております。
初診の方に予約は取っておりませんが、あらかじめお電話いただけると、診察までお待ちいただく時間を短縮できます。

ご紹介いただける各医療機関の皆様へ

開頭手術することなく低侵襲での治療を可能としたガンマナイフ治療は適応となる疾患に対しては80パーセントから90パーセントの高い効果を有しています。

この治療を提供することで、広く患者の皆さまに役立てるものと考えています。

適応症例がございましたら是非ご紹介を賜りますようお願い申し上げます。

問い合わせ

ガンマナイフセンター長 河合 秀哉

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