診療案内
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脳卒中診療部
脳卒中診療部の紹介
脳卒中は死亡原因の第3位であり、要介護疾患の主な原因となっています。日本人の脳卒中の9割は脳梗塞と脳出血が占め、その主な原因は動脈硬化や心疾患といった循環器病です。脳卒中の診療は高血圧、糖尿病などの生活習慣病、心疾患といった神経病学、循環器病学など、多くの分野の知識と経験を必要とします。当センターでは脳卒中のうち脳梗塞・一過性脳虚血発作、脳出血について脳神経外科、脳神経内科を始めとした複数の診療科でチームを作り、共同で診療すべきであると考え、1997年から「脳卒中診療部」を立ち上げ現在に至ります。現在脳卒中診療部は脳神経外科、脳血管内科、リハビリテーション科の医師で構成されています。
脳卒中診療部で行っている診療
脳卒中診療部では検査、内科治療、外科治療、急性期リハビリテーションについて質の高い診療を提供できるよう、経験豊富な専門医が日々診療にあたっております。
1.脳卒中救急治療
詰まった脳血管を再開通させるためには、血栓溶解療法(t-PA静注療法)と血栓回収療法があります。
t-PA静注療法は詰まった血の塊(血栓)を溶かすことにより血液の流れを再開させる治療です。発症から4.5時間以内もしくはMRI画像で4.5時間以内が推定される方が対象です。
血栓回収療法は太い脳血管が閉塞(脳主幹動脈閉塞)する脳梗塞に対してカテーテルを用いて血栓を除去する治療です。発症から24時間以内の方が対象となりますが、広範な脳梗塞が完成している方、軽症な方などは適応になりません。
当院は24時間365日脳卒中患者を受け入れ、速やかにt-PA上流療法をはじめとした急性期治療を開始できる「一次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)」として日本脳卒中学会から認定を受けています。血栓回収療法が常時行える「PSCコア施設」が同学会から委嘱され受諾しています。
脳出血に対しては内科治療、外科治療があります。近年抗血栓薬服用中の脳出血患者さんも来院しており、降圧療法、脳浮腫の管理の他に抗血栓薬の中和薬の使用も行っております。
入院後は集中治療室、脳卒中ケアユニット(Stroke care unit: SCU)での管理を行っています。
2.脳梗塞内科治療
2024年4月より脳卒中診療部に新たに脳血管内科医が加わりました。脳血管内科は脳卒中を全身血管病ととらえ、神経病学、循環器学などの視点から診療する専門科です。当診療部では脳卒中専門の脳神経内科医によって脳梗塞の原因について超音波検査、他の画像検査も踏まえ総合的に治療薬の決定、外科治療の適応について判断しています。
脳梗塞は大きく5つの種類に分けられますが、主な原因は頭部・頚部の動脈硬化で血管が狭窄・閉塞したり、心房細動という不整脈が原因で心臓内にできた血栓が脳血管に流れて血管を閉塞することで、脳梗塞を発症します。精査を行っても、4人のうち1人は原因不明と言われています。この場合は更に詳細な原因検索が必要であり、脳血流の上流に相当する心臓内や大動脈弓部を詳しく調べ、左房内血栓、卵円孔開存、大動脈弓部プラーク、弁の疣贅、心臓腫瘍などがないか検索します。先天性や癌などによる血栓性素因の確認も行います。植込み型心電図記録計(小型の心電図を皮下に植込みを行い心房細動の有無を確認する機械)を用いることもあります。
近年薬物治療の進歩により脳梗塞の二次予防薬は多岐に渡ります。生活習慣病に対する内科治療、抗血栓薬の使い分けについて吟味します。薬物治療で再発予防が不十分と判断した場合はデバイス治療(経皮的卵円孔閉鎖術、左心耳閉鎖術、カテーテルアブレーションなど)を選択します。脳卒中診療部では脳血管内科医の視点でも脳卒中診療に貢献したいと思っております。
3.リハビリテーション
急性期リハビリテーションは機能訓練部である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が行い、常に患者さんの状態についてはカンファレンスを通じて把握するようにしています。
内科治療、外科治療、急性期リハビリテーションを駆使しても後遺症が残存する患者さんも少なくありません。回復期リハビリテーションを当院リハビリテーション科診療部で引き続き受ける場合や、リハビリテーションを受けることが難しい方につきましては他院への転院、施設入所について検討いたします。
4.研究活動
私達は脳卒中治療の進歩について研究活動を行っております。治療の進歩を目指す研究について患者さんのご協力をお願いすることがあります。
スタッフ紹介
医師
師井 淳太(部長) 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本DMAT隊員
専門領域
- 脳血管障害
- 脳血管内治療
- 顔面けいれん
- 三叉神経痛
- 良性脳腫瘍
- 災害医療
土井尻 遼介(部長待遇) 脳卒中診療部 脳血管内科
専門医資格
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本神経学会神経内科専門医・指導医
- 日本超音波医学会超音波専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会脳卒中専門医・指導医
- 日本脳神経超音波学会脳神経超音波検査士・評議員
- 日本禁煙学会禁煙認定指導医
専門領域
- 脳血管障害
- 脳血管内治療
- 脳神経超音波検査
- 脳梗塞塞栓源検索
武藤 達士 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本救急医学会救急科専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本核医学会核医学専門医
- 日本リハビリテーション医学会認定臨床医
- 日本DMAT隊員
- 東北大学客員教授
専門領域
- 脳血管障害の臨床と研究
- くも膜下出血の全身管理
- 血行動態モニタリング
- 救急医療
抱負
県民の皆様に最新の医療を安全に提供できるよう日々研鑽を続けて参ります。
当センターから発信した業績
- Stroke, 38(2007), 40(2009), 45(2014)
- Crit Care, 12(2014)
- Neurosurgery, 70(2012)
- J Neurosurg Anesthesiol, 27(2015), 31(2019)
- GeroScience, In press (2022)
- The Unruptured Cerebral Aneurysms and Subarachnoid Hemorrhage (SAH) CDE Working Group Member
古谷 伸春 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
専門領域
- 脳血管障害
- 脳神経外科一般
吉田 泰之 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
専門領域
- 脳血管障害
- 脳血管内治療
- 脳神経外科一般
富樫 俊太郎 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本脳卒中の外科学会技術認定医
専門領域
- 脳血管障害
- 脳血管内治療
- 脳神経外科一般
濵﨑 亮 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
- 脳血栓回収療法実施医
専門領域
- 脳血管障害
- 脳血管内治療
- 脳神経外科一般
桑山 実喜子 脳卒中診療部 脳神経外科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会専門医
専門領域
- 脳血管障害
- 脳神経外科一般
佐々木 正弘 脳卒中診療部 リハビリテーション科
専門医資格
- 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本体育協会公認スポーツドクター
- 人間ドックアドバイザー
- 認定ISLSコースコーディネーター
- 日本救急医学会認定ICLSコースディレクター
- 日本DMAT隊員
- 臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法指定医
- 小児慢性特定疾病指定医
- 日本神経救急学会フェロー
- 認定病院総合医
- 日本組織移植学会認定医
- 日本意識障害学会認定サポート医
専門領域
- 脳卒中リハビリテーション
- 脳神経外科
- 神経救急
- 脳卒中予防医学
境 梨沙 脳卒中診療部 リハビリテーション科
専門医資格
- 日本リハビリテーション医学会専門医・指導医
専門領域
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秋田県立病院機構 採用情報 医師